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2013年06月 の記事一覧

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マンドリルの彼と

マンドリル(ジョジョ)


目が合うと、
彼はおもむろに私の方へやってきて、
檻の格子にくっつきそうなほど近くで、
わざわざ青と赤の鮮やかなお尻をこちらに向けてきた。

そうかと思えば、
犬歯を剥き出しにした顔を見せてくる。

私は、

初対面にも関わらず
彼にそんな姿を見せてもらえたことを、
ひとり静かに喜々として、見つめていた。

* * *

たとえばそれは、
マンドリルの『挨拶』のようなものかもしれない。

もちろん、
ほかの動物種にとっては
「犬歯を見せる=敵意の証」であって、
安易にそんな行為を示すなんて以ての外だ。

ヒトでいえば、
会って早々に後ろを向かれ、
「やあ、最近どうよ?」なんて尻を突き出されても、
「え、いや、なに、無理」と思うだけかもしれない。

しかし、
彼ら、彼女らにとっては、
「犬歯を見せること」や
「お尻を向けること」が
親愛を込めた『挨拶』なのだ。

社会性をもった動物はたくさんいるが、
このコミュニケーションの取り方はかなり特殊といえる。
…多分、そーとー誤解されやすい。

それが、
マンドリルである。


ただ、
行動の意味を知っていれば、なんてことはない。
言葉なんてまどろっこしいものより、
断然正確で、至極簡単だろう。

それに対して、
言語をもってしまったが故に
「行動の意味」を、解釈の仕方を、
相手に伝えるためには、言葉なしには語れない。
…多分、そーとー誤解されやすい。

それが、
ヒトである。

* * *

疑いは、
信じたいから生じるもの。

違和は、
共感したいから感じるもの。


言葉というものは不安定で不自由で、
おなじ単語の羅列を使っていても、
その解釈というのは本当に人それぞれだ。

言いたいことが、言いたい相手に、
そのまま伝わったのだとしたら、
それは、奇跡だと思う。

よっぽど運がよかったってことなんだ。


「それくらい、わかるでしょ」と思う方に甘えがあるのか、
「なるべくズレの生じない言葉で、しっかり伝えてくれないとわからない」と思う方の怠慢なのか。

たまたま同じ言語で、
お互いにズレの少ない解釈や、
似通った答えに行き着くことはあっても、
まったく同じことを考えるとは限らない。


「『伝える』ことと『伝わる』ことは違う」
という、某デザイナーさんの格言。

私はその言葉に痛く共感したし、
日々強く感じているので、
どうしても「伝える」側の責任を重く見る。

つまり、
「伝わらない」のは、
自分のせい。


色眼鏡やフィルターを取り除いて
接してもらえるように。

まず見てもらう。感じてもらう。
そのために、伝える。

文化がちがう。習慣もちがう。
それを、伝える。


そういう仕事をしていきたい。


私はまだまだ。
でも、いまが成長の機会なんだろうな。

人、現状、環境に、感謝。

* * *

私も彼に、
犬歯を見せてみた。

自然と口角が上がって、

ふたりで、笑えたようだった。

──────────

写真:
ジョジョ(♂) 8才

【マンドリル】
[霊長目オナガザル科]
アフリカの熱帯雨林に生息。
成長したオスの色彩のあざやかさが特徴です。
オスは、体重50kg近くになりますが、メスはオスの半分程度の大きさです。

[分布]
カメルーン、コンゴ、ガボン

「特技はドヤ顔と丸太投げ。ワイルドだろ~
あまりに遊び過ぎると、管理人に怒られちゃうぜ」「放飼場が壊れますから…by管理人」

~展示場解説パネルより引用~


ジョジョに会えるのは……
静岡市立日本平動物園
http://www.nhdzoo.jp/sp/
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